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彼女たちは孤独なハートエイク・アット・スウィート・シックスティーン ◆John.ZZqWo 蠍の尻尾が――十時愛梨の構える機関銃の銃口が、三村かな子の背中を狙い、しかしふるふると震えている。 撃つべきか、撃たざるべきか? 迷うことなく撃つべきだし、撃って殺してしまうべきだ。殺してしまうのは恐ろしいことだが、それを厭ってはいけない。 実際、これまではなにも厭わずに引き金を引くことができたではないか。ならばどうして迷うのか。 殺人に対する禁忌? いざ人を殺してしまいもう怖気づいたのか? それとも反撃が怖いのか? 違う。それはどれも十時愛梨の心の中にあるものだが、今引き金を引かない理由としては正しくない。 十時愛梨が三村かな子の背中に銃弾の雨を浴びせないのは、その理由はただ“なにかがおかしい”からだ。 そして、そのなにがおかしいのか? それすらも霞を掴むがごとくに不明瞭で、故に結局引き金は引かれないのであった。 @ 十時愛梨は、震える銃口を三村かな子の背中に会わせようと両手で機関銃を保持し、それでも上手くいかないことに焦りを感じていた。 そうしているうちに三村かな子は道を先へと進んで行ってしまう。次の曲がり角までもうそれほどの距離もない。 いっそ身体を道の中に出してやたらめったに撃とうか。 そう考えた時、十時愛梨はこの機関銃に十分な弾丸が入っているのか、それが気にかかった。 城ヶ崎美嘉と三船美優を襲った時、あの時は全て撃ち尽くしたのでその後で弾倉を交換した。弾倉の交換は銃をよく知らなくとも簡単にできた。 そしてその後、木村夏樹と高森藍子を追い詰め、彼女らの前で多田李衣菜を撃った後は? 交換――していない。 では、今この機関銃にどれだけの弾が残っているだろう? あの時は特に後先を考えずに連射したが、かなりの弾を撃った気がする。 「――――――ッ」 十時愛梨は構えていた機関銃を地面に置き、自動拳銃を取り出した。 こちらの弾は十分に残っているはず――だがしかし、もう一度銃を構えなおした時、目の前の道に三村かな子の姿はなかった。 ため息を吐き、機関銃の弾倉を抜いて残弾を確認する。まだ弾は半分ほど入っていて、十時愛梨は繰り返しため息を吐いた。 十時愛梨は民家の中に戻り、また同じ場所で毛布を被って壁にもたれていた。 一度張り詰めた緊張の糸が切れ、自身の拙さを目の当たりにすると、去って行った三村かな子の後を追おうという気にはなれなかった。 身体の疲れも取れ切っておらず、それどころか時間を追うごとに増していくばかり。 1時間は身体を休めたはずで、いつものハードスケジュールに比べればこんなくらいなんともないはずなのにどうしてだろう? そんなことは決まっている。 プロデューサーさんがいないから。 なによりちっとも楽しくないから。望んだことではないから。希望はもうすでに他に託したのだ。故に前に進む力があるはずもない。 ぐらぐらと頭を揺する眩暈すら覚える。 そういえば朝食もとってない。それを思い出すと、十時愛梨はリュックから水と与えられた食料を取り出して気だるげに食事を始めた。 ブロック状の栄養食を齧り、口の中でただもさもさと広がるそれを機械的に水で胃へと流し込む。 味気なく、とてもおいしいとは言えないのに、身体が欲しているのか、普段の習慣の賜物か、それが滞ることはなかった。 作業のような食事をしながら十時愛梨が考えるのは、さっき見た三村かな子のことだ。それだけが頭の中でぐるぐる回っている。 おかしい。不自然だ。どうしても納得できない。 三村かな子はあんな風に――そこは憶測でしかないが、他人を積極的に蹴落とそうとする人間だったろうか? とてもそうは思えない。命がかかってなくても、人と競争するなんて苦手――記憶の中の三村かな子はそんな人間だ。 けれど、それはなんとでもなるだろう。 人間の本性なんかわかったものではないし、なにより他の人間からすれば十時愛梨が人を殺すなんてことも信じられないはずだ。 知ればきっと、「そんなまさか」「信じられない」「そんな子じゃない」と皆、口を揃えるはずである。 だから、彼女が急な決断を下せるかはともかく、絶対にここで人を殺すことを拒否できるんだとは言い切れない。 問題は――問題となった発端はあのきびきびとした、まるで映画の中の兵士みたいな動きだ。彼女はあんな風に動けただろうか? そんなわけがない。アイドルだからダンスもするし、なにをするにしても体力勝負なところはある。 けれど、それでも三村かな子は決してあんな動きはできなかったはずだ。 これも人の本性、あるいは裏の顔なんだろうか? 彼女は本当はミリタリマニアで、そういう趣味を隠し、見てない場所で練習したり、知識を蓄積していたんだろうか。 メンタルにしてもフィジカルにしても、実はそうだったんだと言われればどうしようもない。そんなものなのだと受け止めるしかない。 しかし、けれどやっぱりあれは不自然すぎる。まるで、犬が空を飛んで、鳩が海を泳いでいるかのようにありえない。 ひょっとしてさっきのは夢だったんだろうか。それとも頭が朦朧としてるせいで、誰かと見間違えたのだろうか。 十時愛梨はペットボトルの水を一気に飲み干し、思考を続ける。 あんな風に動けそうな子は知らないけれど、じゃあ誰と見間違えたんだろう。 城ヶ崎美嘉か、三船美優だろうか。いや、そんなわけがない。じゃあ、高森藍子だろうか。違う。彼女だけは見間違えない。 ここには他に誰がいただろうか。記憶を順に遡る。 あの教室のような部屋で、……そう渋谷凛がいた。高垣楓の後ろ姿も見た。諸星きらりがいることはすぐにわかった。 そういえば、諸星きらりと仲のいい双葉杏が床に寝そべっていたのも印象に残っている。 矢口美羽、五十嵐響子、ナターリア……他にもたくさんのアイドルがそこにいた。 けれどやっぱりあんな風に動けそうな子はいなかったように思う。 じゃあ、 ――三村かな子はどこにいたっけ? 「あれ……?」 十時愛梨の口から声が漏れる。なぜか急に違和感が不安に変わったような、世界が傾いだような気がした。 三村かな子はあの教室のような部屋のどこにもいなかった……気がする。少なくともあそこで見たという記憶はない。 それは……、しかし、いや、そんなわけがない。ただ見ていないというだけだ。あそこにいなかったはずがない。 床の上で目を覚ましてから千川ちひろが話を始めるまでには少し時間があって、だから誰かに話かけようとして、 これはなんなんだろうって聞きたくて、でも高垣楓の姿は離れたところにあって、なので今度は友人である三村かな子の姿を探そうとした。 でも、結局、彼女の姿は千川ちひろが話をはじめるまでには見つからなかった。 「まさか……、あそこにいなかったなんてことは…………あれ?」 そういえば、三村かな子の姿を見ていないのはいつからだろう。確か、長くロケに出ると聞いてそれっきりだ。 およそ一週間前。 ロケに行く準備があるんで今日はたいしたものは作れなかったんですけどねって彼女は言って、そして大量のドーナツを持ってきた。 そのあまりの量に事務所のみんなは驚いていて、けど彼女は気にした風もなく、いない間はみんなでこれを食べてくださいねって言ったのだ。 結局、そのあまりに大量のドーナツは、しかし不思議なことに2日ほどでなくなったのだけど……その日から彼女の姿は見ていない。 ロケに出てからメールは一切こなかった。帰ってきたという報告もなかったし、会ってもいない。 だとすると、もう一週間は会っていないことになる。 「え……?」 行ってくるよと言った彼女はよく知る彼女で、今ここにいる彼女は全然知らない彼女で。 一体なにがあったのだろう? 彼女――三村かな子に。いや、それだけじゃなく事務員の千川ちひろにしたって今はもう知らない彼女だ。 思い返してみればここ数日、事務所で他のアイドルと会う回数が減っていたような気がする。 あまりに忙しいのでせいぜい一日の始めか終わりくらいにしか事務所には顔を出さないけれど、そこにいるのは千川ちひろだけだったような。 昨日の晩に事務所に戻った時、そこには千川ちひろしかいなかった。 一昨日の朝には市原仁奈と挨拶を交わした記憶がある。彼女をクッションと間違えて以来、ソファには気安く飛び込めなくなった。 その前の日はどうだろう? 確か、移動中にちょうど水本ゆかりといっしょになった記憶があるが、……事務所には誰かいただろうか? 「なんだろうこれ……?」 ぐらぐら、ぐらぐらと地面が揺れる。 床が波打ち、なにもかも足場が消えていくようで、今にも天井が覆いかぶさってきそうで、十時愛梨は毛布を被ったまま床に伏せた。 「どうしてこんなに気持ち悪いの?」 なにかがおかしい。なにかが食い違っている。なにかを勘違いしている。そんな不安が十時愛梨を揺さぶる。 それは私だけ? それともみんな? 元々、前に進むことも、出口にたどり着くことも期待していないけれど、でもこのままでいいのかな? 誰か、本当のことを知らないですか? ねぇ、プロデューサーさんは知っていたんですか? どうしてあの時、私に「生きろ」って言ったんですか? プロデューサーさんは何を知っていて、私に「生きろ」って言ったんですか? どうして「生きろ」って言ったんですか? どうして「生きろ」って…………? 私、生きてないといけないんですか…………? 【G-3・市街地・民家の中/一日目 午前】 【十時愛梨】 【装備:ベレッタM92(15/16)、Vz.61"スコーピオン"(14/30)】 【所持品:基本支給品一式×1、予備マガジン(ベレッタM92)×3、予備マガジン(Vz.61スコーピオン)×4】 【状態:疲労、不安】 【思考・行動】 基本方針:生きる。 1:????????????? @ やや古びた図書館の前を通り過ぎ、三村かな子は市外の中を北進していた。 そして、このまま道なりに進めば島を南北に縦断してる道路に続く――というところで、なぜか角を左に曲がり西へと進路を変える。 左右にほとんどの店がシャッターを下ろした商店街。この道の先は彼女のスタート地点である学校へ続く道だった。 緩やかなカーブを描き少しずつ角度を増していく坂道を、三村かな子は来た時とは逆に上っていく。 学校になにか目的があるのだろうか? しかしそうではないらしい。 三村かな子は校門を潜ると、周囲を警戒しながらグラウンドを渡り、そのまま校舎の脇を抜けてその裏側へと進んでいく。 影が落ちひんやりとした校舎裏の、更に奥まったところ。学校の敷地の一番奥には錆の浮かんだ鉄扉があり、白いペンキで登山道と書かれている。 それに鍵がかかっていないことを知っているかな子はそのまま押し開け、その向こう、まるで獣道のように細い山道を上り始めた。 「………………疲れるなぁ」 でこぼことした道を上り始めると途端に息が荒くなる。 5分も経たないうちに三村かな子は、やっぱり舗装された道を行けばよかったかと後悔しはじめた。 しかしこの学校の裏から通じる登山道なら歩く距離そのものは半分以下になる。 それにゆるやかな坂道ときつい坂道、上る高さは結局変わらない。だったら、歩く距離が短いほうが疲れない……はず。 加えて、地図に載ってないこの山道を他のアイドルは知らないだろうから不意に遭遇することもなく、道中は安全だと言える。 なにより今更また道を戻る気にもなれない。 この山道を上り切ればすぐに温泉だ。今回こそは入ろう。 三村かな子はそう自分を元気づけると、トレーニングで幾度か上った時のことを思い出しながら重たい足を進めた。 【F-3・登山道/一日目 午前】 【三村かな子】 【装備:US M16A2(27/30)、カーアームズK9(7/7)、カットラス】 【所持品:基本支給品一式(+情報端末に主催からの送信あり、ストロベリー・ソナー入り) M16A2の予備マガジンx4、カーアームズK7の予備マガジンx2、ストロベリー・ボムx11 コルトSAA"ピースメーカー"(6/6)、.45LC弾×24、M18発煙手榴弾(赤×1、黄×1、緑×1) 医療品セット、エナジードリンクx5本】 【状態:疲労】 【思考・行動】 基本方針:アイドルを全員殺してプロデューサーを助ける。アイドルは出来る限り“顔”まで殺す。 0:温泉に入りたいよぉ……。 1:温泉に向かい、そこを拠点とし余分な荷物を預け、できればまとまった休息を取る。 前:スーパードライ・ハイ 投下順に読む 次:バベルの夢 前:魔改造!劇的ビフォーアフター 時系列順に読む 次:バベルの夢 前:ファイナルアンサー? 三村かな子 次:魔法をかけて! 十時愛梨 次:揺らぐ覚悟、果ては何処に ▲上へ戻る
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RESTART ◆u8Q2k5gNFo 数分後に迫った放送を前に、向井拓海・小早川紗枝・松永涼の三人は今後の方針を話し合っていた。 「もしここが禁止エリアになったら何処に行くんだ?東か南の方へ行ってみるか?」 「人を探すんなら、それがええかもしれへんなぁ」 涼の提案に紗枝も頷く。 現に明け方から早朝にかけての捜索では誰も見つからなかった。 といっても完璧にエリア全体を捜索しきったわけではないし、明るくなるまで隠れていた者もいるかもしれない。 「引きこもって隠れてた奴もいるかも知んねーけど、どのみちアタシらだけじゃ全部探し切んのは無理かもな」 拓海は手に持った地図を、テーブルに広げた。 大雑把にいえばこの島は、北東・北西・南の“街”、温泉や遊園地のある“山間部”、 ホテルや牧場のある“小島”の三つに分けられる。 最北端、最南端にある灯台や山頂の天文台などは籠城するには最適だが、禁止エリアのルールがある以上は 身動きできなくなる前に街の方へ向かわざるを得ない。 ホテル・牧場付近にある小島はおそらく誰もいないと考えた。わざわざ好きこのんで行く物好きはいないし、 アイドル同士の殺し合いが目的なら、そんなところに配置する意味はない。 皆で潰しあって最後に残りました… なんてことは主催側も望んではいないはずだ。 以上の理由から、上記の山間部や小島は後回しにして街の方を捜索しながら道中の施設 (ダイナー、キャンプ場、遊園地・動物園、飛行場)を周ることにした。 方針としては、『人を探す』ということに変わりはない。 「近いのは東の街だな」 「博物館の方はいかんでもええの?」 「あー…そっちか」 先の捜索では南側を重点的に行ったため、B-4北側の映画館や博物館は捜索していなかった。 B-4が禁止エリアに指定された場合は別としてそうでない場合、このままB-4に留まり、北西部の捜索を続けるか。 それとも東か南へ向かうのか。 「そろそろ始まるぞ…」 時計をみた涼はそういって話を遮った。拓海と紗枝もそれを聞いて話を止める。 民家の一室で彼女達はカーテンの隙間から次第に強まる日差しを感じていた。 時間に近付くにつれて三人の緊張が高まっていく。 (小梅……!) 涼は顔の前で祈るように手を組み、島内にいるであろう相棒へ呼びかけていた。 大丈夫。きっと大丈夫。あいつにも同じように心優しく強い仲間がいる。そうに違いない。 だから必ず見つけ出す。 アタシが小梅を護るんだ。 はたして想いは届くのか。 『はーい、皆さん、お待たせしました! 第一回目の放送です! 』 遂に、その時が来た。 # 『では、また6時間後、生きている人達は会いましょうね 皆さん――――最期まで、生き延びて見せなさい』 「---------------マジかよ」 予想外の犠牲者の数に三人は驚きを隠せなかった。 十五人。つまり全体の四分の一はすでに殺されたということだ。 ある程度の数は覚悟していた。しかし六時間で十五人ということは自分達が考えていた以上に “殺し合い”が進んでいる。 やたらと楽しそうな口調の千川ちひろに怒りを感じたが、同時に力不足を思い知らされた。 (夏樹、李衣菜… お前ら逝っちまったのかよ) 名前を呼ばれたアイドルの中に、木村夏樹と多田李衣菜がいた。 二人は拓海の友達だった。 夏樹とはバイクという共通点からツーリングに行ったこともある。 強面の拓海が事務所に馴染めたのも夏樹が積極的に話しかけてくれたおかげだ。そこから李衣菜とも話すようになり、 皆と打ち解けて話せるようになった。 最高に楽しい、いい奴らだった。 二人がどんな最後を迎えたかはわからない。わからないが、 きっと二人とも、こんなクソッタレな殺し合いなんかに負けず最後まで“ロック”を貫いたのだろう。 (夏樹…李衣菜… お前らの“ロック”はアタシが引き継いでやる) 二人だけではない。全員の魂を引き継いでいくのだ。 呑気にふんぞり返っているような奴らのいいなりになど、なるものか。 (よかった…) 涼は小梅が生き残っていることに一先ず安堵した。 しかし、状況は何も変わってはいない。 あくまでも今回名前を呼ばれなかっただけだ。今だって何者かに狙われているのかも知れない。 それに加えて、同じ事務所の仲間が大勢死んだということもある。 ともに切磋琢磨してきた仲間達が死んでしまったという事実を前に、喜ぶことはできない。 (情けねぇのはわかってるさ、けどよ…) もちろん小梅さえ無事ならと考えたわけではないが、 知っている奴も知らない奴も命は平等だ。人が死んでいいことなど何もない。 小梅だって自分だけ助かれば他人はどうでもいいなどと考えてはいないはずだ。 (ごめんな。夏樹、リーナ。お前らとはもっと話したかったよ) バンドをやっていた涼とロック好きな夏樹と李衣菜とはすぐに仲良くなった。 孤立しがちな涼にとって二人と話すのは小梅と話すのとはまた違った楽しさがあった。 (リーナ、約束は守るよ。夏樹の分までたっぷり聞いてやる) 李衣菜のCDを買ってやると三人で約束した。CDデビューを報告しに来た時の彼女の嬉しそうな姿は今も忘れていない。 名簿と地図に印を付けていく。一番最後に、彼女らの名前に線を引いた。 「ほな、続けよう」 静寂を破ったのは紗枝の一言だった。 亡き友を偲ぶ二人の気持ちは痛いほどわかる。 今は何も考えたくないかもしれない。同じ立場にならきっとそうなる。 出会って間もないが、二人に“心”を救われている。今度はこちらの番だ。 もし二人が立ち止まってしまったのなら、自分が手を引いて前へ進ませてみせる。 拓海と涼は顔を上げた。 「…そうだな、さっさと決めちまおう」 「どこまで話したっけか?」 「博物館の方は行かんでええのかってところまでやけど-----------ちょいええかな?」 紗枝はずっと考えていた疑問とそれに対する答え合わせを二人に求めた。 「禁止エリアって何を基準に選んどると思う?」 「さっきも話したじゃん。一箇所に固まられるのを防ぐ---------------」 言いかけたところで涼と拓海も気がついた。 籠城を防ぐために封鎖するのだとしたら、裏を返せば人が集まっている可能性があるということだ。 「つまり、指定されたとこには誰かいるっつーわけか」 「せやね、わざわざ街ん中を選ぶちゅうことはこん辺の子らはここに集まっとるんやないかな」 そういって地図上の『C-7』を指差した。 「人がおるんなら、時間前に移るはずやろ?こことかどうやろ?」 紗枝は『C-7』を指差したまま左へスライドさせた。 「C-6か。その辺なら移動してきた奴らと会えるかもな」 「行くか?」 「ああ、行こうぜ」 行き先は決まった。 # 「まさか使えるとはね…」 相川千夏は事務所の一室で呟いた。 彼女は東にあるスーパーマーケットへと到着した後、事務所へと向かった。 事務所には誰も居なかったが、奥に部屋を発見し中を覗くと、 多数のモニターが店内の様子が映し出していた。 どういうわけかは知らないが、監視システムは生きているらしい。 (使えるんなら有効活用させてもらうけど) 防犯カメラで見る限り店内が荒らされた様子はない。 数あるモニターの中から一番重要な映像を探す。 (入口と…裏口にもカメラは付いてるのね) ここさえ見張っておけば誰が何人入ってきたか解る。 分が悪ければストロベリー・ボムで一気にやって仕舞えばいい。 (ここで張ってみる…か?) 病院の遠いこのエリアなら、薬や医療品を求めてくる者もいるだろう。 唯一怖いのは近くでおきている火事だけだ。火はおさまってきているがこちらまで延焼してくるようなら早めに逃げるとしよう。 (“お客さん”…来るかしら?) 千客万来か、門前雀羅か-------------- 答えは誰にもわからない。 【C-6・スーパーマーケット内事務所/一日目 午前】 【相川千夏】 【装備:ステアーGB(19/19)】 【所持品:基本支給品一式×1、ストロベリー・ボム×11】 【状態:健康】 【思考・行動】 基本方針:生き残り、プロデューサーに想いを伝える。 1:対象の捜索と殺害、殺し合いに乗っていることを示すため、東へ向かう。 2:以後、6時間おきに行動(対象の捜索と殺害)と休憩とを繰り返す。 ※店内から事務所に通じる通路がいくかあります ※まだ店内の構造をよく把握していません # 「やっぱり誰もいねぇな」 端末の位置情報を頼りに東へ歩を進める。 拓海の提案で、最後に移動しながらこれまで行けなかったところを捜索してみたが 結果は変わらなかった。 「わりいな。道草食っちまってよ」 「気にすんな。戻ってこないかもしれないんだし、やれることはやっといたほうがいいだろ」 「ちゃんと道に出たし、これでええんやないの?」 三人は東へ続く一本道を歩きながら話をしていた。 「姉妹みたいだな。お前ら」 「仕方ねぇだろ。これしかねぇんだからよ」 拓海は青のジャージを、紗枝は紺のジャージを着ていた。 色とサイズは異なるが同じメーカーのもので、タンスにしまってあったものを拝借した。 血塗れの特攻服や着物よりは動きやすいジャージの方が都合がいい。 着物は必要ないとして置いていくことにしたが、特攻服は持っていくことにした。 血塗れた特攻服が要らぬ誤解を生む危険があるが、 この特攻服には仲間との絆が、想いが、たっぷり詰まってる。そして“アイツ”の分も。 過去に縋り付くわけではない。 染み付いた血は、“アイツ”-----------いや、六十人の無念の代弁だ。 自分は託されたのだから。全部、背負ってみせる。 一本道を進むとダイナーが見えた。 その時ふと、街の方から煙が上がっているのに気がついた。 「もしかして…火事か?」 「行くぞっ!」 拓海は走り出した。 考えるより早く体が動いた。脳裏に思い浮かんだのは最初に出会った少女の無残な姿。 また誰かが危機に晒されている。十六人目なんて必要ない。 (もうごめんなんだよ…!) 「向井はんっ!待ち!」 「拓海!一人で行くな!」 後ろからの静止の声を聞き足を止めた。 なぜ止めるんだ、また誰かが傷つこうとしている。今行かずにいつ行くのか。 「早くしねぇと間に合わねぇだろ!?」 紗枝は拓海を真っ直ぐ見つめて、言った。 「うちら、仲間やろ?一人で行かなあかんくらい頼りにならへんの?」 「あ-----------------」 紗枝の言葉を聞いて炎のように熱くなった心が涼しくなっていく。 熱くなって、一番大切なこと忘れていた。 「すまねぇ」 無茶な走りに仲間はついて来ない。 「落ち着いたか?罠かもしれないし一人じゃ危ねぇよ」 「ああ、もう大丈夫だ。行こうぜ、皆でな」 再び走りだした。今度はお互い速さをあわせて。 三人は知らない。 最後の捜索の間に、火事の原因を作った五十嵐響子が病院へ入ったことも、 その病院に涼を襲った緒方智絵里がいることも、 北に同じ志を持った大石泉・川島瑞樹・姫川友紀がいたことも、 尋ね人・白坂小梅が港から灯台へ向かったことも、 すでに“十六人目”がいることも。 【B-5(道路)/一日目 午前】 【向井拓海】 【装備:鉄芯入りの木刀、ジャージ(青)】 【所持品:基本支給品一式×1、US M61破片手榴弾x2、特攻服(血塗れ)】 【状態:健康】 【思考・行動】 基本方針:生きる。殺さない。助ける。 1: 引き続き仲間を集める(特に白坂小梅を優先する) 2: 東(C-6付近)へ向かう 3:涼を襲った少女(緒方智絵里)の事も気になる 【小早川紗枝】 【装備:薙刀、ジャージ(紺)】 【所持品:基本支給品一式×1】 【状態:健康】 【思考・行動】 基本方針:プロデューサーを救いだして、生きて戻る。 1:引き続き仲間を集める(特に白坂小梅を優先する) 2: 東(C-6付近)へ向かう 3:少しでも拓海の支えになりたい ※着物はB-4の民家においてきました 【松永涼】 【装備:イングラムM10(32/32)】 【所持品:基本支給品一式、不明支給品0~1】 【状態:健康】 【思考・行動】 基本方針:小梅と合流。小梅を護り、生きて帰る。 1:小梅と合流する。 2:他の仲間も集め、この殺し合いから脱出する。 3: 東(C-6付近)へ向かう 前:シンキング・シンク 投下順に読む 次:トリップ・アウト 前:水彩世界 時系列順に読む 次:グランギニョルの踊り子たち 前:アイドリング・アイドルズ 小早川紗枝 次:賽は投げられた、と嘆くのではなく自ら賽をぶん投げる勇気 向井拓海 松永涼 前:Joker to love/The mad murderer 相川千夏 ▲上へ戻る
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◆FGluHzUld2 № タイトル 作者 登場人物 027 ただ陽の輝きの先に未来が待っていると信じて ◆FGluHzUld2 多田李衣菜、日野茜 041 ドロリ濃厚ミックスフルーツ味~期間限定:銀のアイドル100%~ ◆FGluHzUld2 輿水幸子、星輝子、神崎蘭子 登場させた人物 輿水幸子 多田李衣菜、神崎蘭子 日野茜、星輝子 ★(2回)、★★(3回)、★★★(4回)、★★★★(5回) コメント 内容、文体共にロックでパワフルな書き手。とにかくガンガン行こうぜなノリで書いていく。ロックな精神の現れか041話では地の文までとんでもないことに -- 名無しさん (2012-11-21 00 13 07) 名前 コメント ▲上へ戻る
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Happy! Happy!! Happy!!! ◆yX/9K6uV4E 「肇ちゃんってさークソ真面目だよねぇ」 「は、はぁ……それはどういう意味でしょう」 「あ、おっちゃーん、ジンジャーエールお替り宜しく」 「あ、私もバニラオレお願いしますね」 「美波ちゃんはお酒じゃないの?」 「そういきたいんですけど……私も一応未成年ですし」 こ洒落たダーツバーで、私――藤原肇は同じアイドルの仲間達とご飯を食べていました。 本当にお洒落なところで、こんな幼い私がいていいのかと少しドキドキしてしまいます。 そんな私を気楽そうに見つめるのが塩見周子さん。 その隣で微笑んでいたのが新田美波さん。 二人とも私と同じプロデューサーにプロデュースされているアイドルです。 一緒にやってきて、結構仲もいいんです。 「いや、もっと肩肘張らなくてもいいんじゃないかなーって」 「……はぁ」 「真面目すぎるけど、視野狭くなっちゃうよーって」 「周子さんは気楽過ぎると思いますけどね」 「げっ……美波ちゃん藪蛇……」 ……真面目、すぎるんでしょうか。 私は、私らしくのつもりでいたつもりなんですが。 深く考えようとして、結局上手く考えが纏まらない。 よく解からなくなって、私は自分の抹茶オレを啜った。 甘くて苦い、不思議な味だった。 「だーかーらー、そう難しく考えるのがよくないって事よん」 そんな私に周子さんは微笑む。 手に持ったジンジャーエールを一気に飲み干して。 立ち上がって、ダーツを一本持つ。 その姿は、凛としていて、まるで妖精のよう。 「こう、力を抜いて……さ、よっと」 そうして、放れた矢は、まっすぐ的の真ん中を射抜いた。 柔らかくて、けれど綺麗な軌道だった。 「あるがままに、受け止めるってのも楽しいよん」 あるがままに、受け止める。 自然の流れに、身を任せるように……って事でしょうか? 気取らず、自分らしく……? 「そうですね、アイドルになって、わたしの世界はぐんと広がった気がするけど……それでも、アイドルの私という新しい私を……」 そう言いながら、美波さんも、ダーツを手にとって、そのままダーツを放つ。 「受け止めて……楽しんでますよ♪ だってワクワクして、本当楽しいっ♪」 ふわっとしながらも、真っ直ぐ中心を射抜く。 「お見事……美波ちゃんもやるね」 「いえ、それ程でも♪」 新しい自分。 自分が成りたい、アイドル。 そんなものを考えて。 そして、ふーっと思いっきり息を吐いて、思って。 力を抜いて、イメージしてみる。 そしたら、簡単に、浮かんだ気がして。 「私も……」 私は、お二人と同じようにダーツを手に取ってみる。 当てるべき的は思ったより遠いけれども、 「一番私らしい、私を、私らしく受け止めて……」 ふっと、力を抜いて、ダーツを放つ。 「イメージした私を、そのまま、表現できたら、いいな」 それは、迷うことなく、まっすぐへ―――― ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「……っ!?」 ドーン!と、まるで映画の中でしか聞けない爆発音を聞いて、私は我にかえる。 ボーっとしていた訳ではないが思索に耽っていたのは事実ですから。 思い出していたのは、同じく殺し合いに巻き込まれた仲間であり……大切な友達。 私にとって、大事な出来事を思い出していました。 周子さんと美波さんとのひととき。 今の私を作った大切な思い出です。 二人が名簿に書かれた時、胸がしめつけらるような気持ちに襲われました。 ただ、無事であればいい。そう願うばかりで。 「いかないと……」 だから、今の爆発も見逃す訳には行きませんでした。 其処に大切な人達が巻き込まれてるかもしれない。 夢を、願い踏みにじられるようなことになっているかもしれない。 そんなのはいけない、許してはいけない。 私はアイドルだから。 皆にも、アイドルで居て欲しいから。 だから、私は駆け出したんです。 あの時、想った事を胸に―――― ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「おっすおっす! 杏ちゃんげんきぃー?」 「あーきらり?……だるい」 「うきゃー元気ですにぃ☆ 杏ちゃんもハピハピすゆ?」 「……帰りたい」 「むーん」 「くー(寝たふりしたら帰ってくれるだろう」 「にゃは☆杏ちゃん寝てる姿もちょーカワイイ! お持ち帰りするにい☆」 「なっ……ちょ、きらり……片手で、もちあげるなぁああああ!?!?!?!?」 「どーう? きらりんぱわー☆」 「きらりんぱわー……じゃない、落ちる……ぅーーーーーーーー!?」 「うぇへへ! にょわー!」 「おろせぇえぇぇぇ」 「杏ちゃん、一緒にはぴはぴすゆ?」 「する! するから、離せ!」 「うふふ、じゃあ、このまま一緒にいるんだにい!」 「わ、解かった」 「杏ちゃん、ぎゅーーー☆」 「ぎゃ、ぎゃああああ!?」 「杏ちゃん」 「……ぜーはーぜーはー……何?」 「ぜーーったい一緒にトップアイドルなって……ずーっとハッピーよねー☆」 「……ああ、解かった解かった」 「にょわー☆」 「なったら即引退するけどね」 「むぇー!」 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「むぇ?」 どーんと大きな音がしたんだにぃ。 なんだろー、なんだろー? 何か嫌な予感がすゆー…… 杏ちゃん…………きっと寝てるんだにぃ。 ……心配だにぃ。 むー! そんな気分じゃ、駄目なの! もっと、ハピハピすゆー☆ きらりんがハッピーなら、きっと皆ハピハピ! うぇへへ……それなら、きらりん頑張っちゃう☆ よーっし! なら、その現場まで、きらりんふるぱわー! にょ、にょ、にょわーー☆ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ――ちりんちりーん☆ 「急がないと……!」 ―――にょわー自転車とーまーらーなーい☆ 「もし生きてる人が居るなら……」 ――――うぇへへ……にょわ! 「うん……いそが……」 ――――あーーーぶーーーーなーーーい! 「えっ……!?」 どーーーーーーーーーん☆ 【藤原肇 死 「じゃないです!」 ………………失礼しました】 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「いいですか、きらりさん! 貴方はもう……」 「……にょわ」 「聞いてますか!」 「ふぁい……」 ………………本当死ぬかと思いました。 猛スピードで自転車が突っ込んでくるのは恐怖です。 寸前で避けられたものの……。 あ、さっきの衝突音はきらりさんが電信柱にぶつかった音です。 幸いきらりさんも自転車も大丈夫でしたが。 とはいえ、怖かったのは事実なので、大説教です。 彼女が諸星きらりだった事は知っていたので。 ……まあ、知らない人はいないでしょう。 あのインパクトですし。 「くどくどくどくど……」 「む、むーん……」 自己紹介も程ほどに愚痴とも言えない説教していました。 だって、スピード出しすぎであり得ない。 ぶつかったらただ事じゃない。 死んでしまうかもしれない。 そんな駄目です。 そんなよくないです。 「も、もう、怖かったんです……から……」 ぽろっと雫がこぼれちゃい……ました。 だって、怖かったんですから。 死ぬ時は、きっと怖いんだなって、思っちゃいました。 皆、どんなに覚悟しても、きっと怖いんだ。 震えが、止まらない。 でも、皆、そんな震えを抱えて、生きてるんだと、思いました。 「………………御免ねぇ」 「……え、きらりさん?」 そして、そっと、大きな温もりに包まれました。 すっぽりと。 私は、きらりさんに抱かれてました。 凄い温かくて。 「きらりん、気をつけるにぃ……だから、泣くの、やめるにぃ」 「きらりさん……」 「肇ちゃんも、ハピハピすゆー?」 「えっ……?」 ハピハピ? 何か、ふあっとした言葉でした。 不思議な、柔らかさがある。 「笑って、きらりんも、ハピハピ☆」 「はぴ……はぴ?」 「肇ちゃんもだにぃ!」 「ハピハピ……」 「そう、きらりんも、ハピハピ☆ 肇ちゃんも、ハピハピ☆ みんなもハピハピ☆」 そしたらねと、きらりさんはいって。 「みんな、きっと、ハッピーだにい!」 きらりさんが笑って、幸せになって。 私が笑って、幸せになって。 皆が笑って、幸せになって。 そしたら、世界のみんなが、幸せ。 彼女は、笑ってそんなことを言う。 だから、私も笑って。 「そうですね……ハピハピです」 そしたら、何か、恐怖が薄れたんです。 不思議ですね。 これが、諸星きらりさんの魅力……なんでしょうか。 私も、笑えてました。 「うぇへへ……きらりん、どーん!としたの向かったんだけど、肇ちゃんもー?」 「はい……気になって」 「……一緒にいくー?」 「いいんですか?」 「おっすおっす、みんなでハピハピだにぃ☆」 「……そうですね、よろしくお願いします」 どうやら、向かう方向も一緒のようだ。 なら、一緒に行きたい。 この、不思議な輝きを放つ少女に。 そう、思ったから。 「じゃー、出発進行! 自転車にのるにぃ!」 「ふ、ふたりのりですか!?」 「いいから、いいから☆ ごーごー!」 「ってきゃーー!?」 そして、ほぼ、強引に出発する事になったけど。 私は笑ってて。 これが、きらりさんの言う事かなと思って。 ――――ハピハピ ……なんて、思っちゃいました。 【C-6/一日目 黎明】 【藤原肇】 【装備:ライオットシールド】 【所持品:基本支給品一式×1、アルバム】 【状態:健康、決意】 【思考・行動】 基本方針:殺し合いを回避するために出来ることを探す 1:きらりさんと行動。 2:アイドルを殺すことは、自分自身を殺すこと 3:プロデューサーを危険に晒さないためにも、慎重に…… ※塩見周子、新田美波と同じPです 【諸星きらり】 【装備:折りたたみ自転車】 【所持品:基本支給品一式×1、くまのぬいぐるみ(時限爆弾内蔵)、不明支給品×1】 【状態:健康】 【思考・行動】 基本方針:杏ちゃんが心配だから杏ちゃんを探す☆ 1:きゃほーい! 肇ちゃんと自転車で爆発の方向までまできらりんだっしゅ☆ 前:今を生きること 投下順に読む 次:彼女たちが探すシックスフォールド 前:今を生きること 時系列順に読む 次:盲目のお姫様と迷子の子羊 前:眠る少女に、目醒めの夢を。 藤原肇 次:彼女たちは袖触れ合うテンパーソン 前:悪者とプリンセスのお友達なカンケイ 諸星きらり ▲上へ戻る
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彷徨い続けるフロンティア ◆j1Wv59wPk2 雨の音が、途切れる事なく流れ続ける。 一人の女性がその中心で、雨を全身に浴びながら立っている。 雨の降り続けるなかで、女性の体は―で濡れていて。 その足元には草に隠れるように――― ――もう動かない、死体があった。 * * * 『最期まで、頑張りなさい』 響き続けた女性の声が途切れ、辺りは静寂に包まれる。 そんな空間の中で、少女は一人立ち止まっていた。 「……………」 少女――緒方智絵里の頭の中では、多くの言葉が反芻していた。 みんな、太陽なんだから。その言葉を遺していった少女。 我侭ね、子供の考えよ。その言葉で夢を一蹴した人。 華麗に、救うのが『ヒーロー』というものだ。その言葉と共に身を呈して守ってくれた子。 そして、看取った少女の、幸せな夢。 ナターリアという名前。五十嵐響子という名前。南条光という名前。 それらは全て、彼女がさっきの女性の言葉から聞いた名前だった。そして、その放送で呼ばれる事の意味を智絵里は深く知っている。 分かっていた事だ。二人はその瞬間を目撃していたし、もう一人も長くは持たないであろう嫌でも理解できていた。 だから、意外だとか驚きだとかそういう感情は全くなくて。事実は、普通に受け入れた。 ただ、『死んでしまった』という事が。もう二度と想いを交わせない事が―――どうしようもなく哀しい。 「………っ」 やっぱり、こんな気持ちはここで断ち切らなきゃだめだ。智絵里はそう、改めて決意する。 哀しみは、止めなくちゃいけない。 人には人の、それぞれの確かな想いがある。大切な人がいる。譲れないものがある。 それは決して、こんな所で踏みにじられたらいけないものだから。 他の誰かが、同じような気持ちを感じてしまわないように。明るく、幸せな夢にするために。 その為に智絵里は、この殺し合いを止める。 間違っている人達を、変えてみせる。和久井留美のような、『冷たく哀しい夢』を。 (でも………今のままじゃ駄目、ですよね) 今からでも戻れば、あるいは和久井留美を探し出せるかもしれない。 だが、例え見つけられたとしてもそこからどうする。彼女を前にして、智絵里に何ができる。 結論から言ってしまえば、どうする事もできないだろう。 今の智絵里に、和久井留美の夢を変えられる程の力は無い。それほどまでに彼女は暗く、重い。 なら、どうすればいい。 足りないものがある、伝えられないものがある。それを伝えて、夢を変えてみせるには、どうすれば。 決まっている。その『夢』の力を、証明すればいい。 この悪夢の中でもまだ、沢山の人が。沢山のアイドルがいる筈だ。 そして、まだ多くのアイドルが心に太陽を持っている。 全ては仮定でしかないけど、それでもそう思えるだけの人達を智絵里は見てきた。 アイドルは、決して一人じゃない。同じ想いを持つアイドルは、必ずいるはず。 生きている皆で、決して諦めずに。 この夢は、決して絵空事なんかじゃない。 それを、証明してみせる。 『アイドル』としての緒方智絵里を証明してみせて、そしてまた出会えた時に……絶対に、変えてみせる。 それが、飛行場から立ち去る智絵里の決意だった。 * * * 「ふぅ………」 額に浮き出る汗をぬぐい、足を進める。 今彼女は、道ならざる程荒れた場所を進んでいた。 飛行場から南へ、わざわざ本来のびていた道とは別の方向へ進む。 大きな理由としては、さっき聞いた放送にある。 禁止エリア――入ってしまえば、首に巻かれた爆弾が爆発してしまうらしい、そんな場所の一つに『C-2』が指定された。 それは、智絵里の居た『D-3』のすぐ近く。更に言えば、飛行場からのびていた道の先にあるエリアだった。 今から二時間後に、道の先が封鎖されてしまう。 踏み出そうとした一歩をいきなり邪魔されたような気持ちになったが、他にも道はある。 そもそも北西の道は既に探索済みだ。新たに誰かが来ている可能性もあるとはいえ、まだ探してない場所を見ていく方が効率的に思えた。 だから彼女は、大事をとって別の場所へと進んだ。今まで行った事の無い、南の方角へと。 (そろそろ、見えてくるかな……) 斜面はあまり急ではなかったが、それでも山を登る行為は確実に智絵里の体力を奪う。 それでも、今ここで足を止めるわけにはいかない。 北の他に近くにある名前つきの施設は、この先にある。 山の頂上付近にある天文台と、その近くにある温泉。 冷静に考えると地理条件があまり良くなく、人がいるかと言われると少し厳しい。 だがそれは、今彼女達がいる状況で考えれば少し変わってくるだろう。 今智絵里が望んでいるのは、人と出会う事だ。 だが、他の参加者達も同じように行動しているかと言われれば、多分違う。 ここは、殺し合いの場だ。 例えば人があまり来なさそうな場所で、怯えて隠れている……なんて可能性は否定できない。 智絵里が今探しているのは、正にそんな人だ。 この場所で、未だ哀しい夢に囚われていない人。その輝きを、穢していない人。 そんな人との合流して、協力することができれば、この胸の中にある夢は、形になっていく。 そう思っていたからこそ、智絵里は躊躇する事なく山を登り続けていた。 「はぁ……」 一体、どれほど歩き続けただろう。 たった独りでこれほど歩いた事は、もしかしたら初めてかもしれない。 最近の彼女には、いつだって隣に誰かが居た。 だから、歩く時もいつも隣に誰かが―――― 「…………っ」 違う。 歩く時に隣に誰かがいたんじゃない。 緒方智絵里という少女は、誰かがいないと歩けなかった。 彼女がこの場所に連れてこられて、一人で何をしただろう。 殺す――と思っても、結局誰も殺せず、ここまできた。 勿論、殺せなかったのは結果的に良い事なのは違いないが、それでも彼女は独りでは一歩すら踏み出せなかった。 それに、今の彼女の気持ちだって、沢山の人の生き様を見てやっと芽生えたものだ。 結局、彼女は独りでは何もできなかった。それは、否定しようのない事実だ。 今までだって、たくさんの迷惑をかけてきた。 逃げ続けてきて、あの人にも、他の人にも迷惑をかけてきた。 そんな少女がアイドルとして成長したのは、いつだって見捨てずにいてくれた人がいたから。 彼女の歩いてきた道は、一人では歩けないほど、不安定だった。 少女は今、初めてたった独りで歩く。 頼れる人も、逃げ出した自分を追ってくる人も、隣を歩く人さえも、ここには居ない。 全て、智絵里自身が決めなくちゃいけない。 今まで通りでは駄目だ。これからは、成長しないといけない。 改めて気付いた事実を深く噛みしめて、独り歩いていく。 「あ………」 そして光景が変わり、少女は顔をあげた。 目の前には、自然の中で人の手が掛けられた場所――地図に書いてある『温泉』がそこにあった。 「…………」 智絵里は、その入り口に恐る恐る近づく。 地図には温泉としか書いていなかったが、その実しっかりとした設備があった。 つまり、その分人が隠れられるスペースは十二分にあるという事だ。 そしてその人物が、最初に彼女が予想したような人とは限らない。 誰も居ない可能性だってあるし――あるいは、いたとしても好意的な人とは限らない。 油断して、死ぬわけにはいかない。自分の身は、自分で守らないといけない。 彼女を守ってくれる人は、ここにはいないのだから。 「だ、誰かいますか………?」 入口近くに人影がない事を確認し、奥の方へ声をかける。 当初の予想通りの人がいるとするなら、敵意が無い事を証明しないといけない。 見渡した限り、人はいない。奥の方に潜んでいるのか、あるいは元から居ないのか。 そのどちらの可能性も捨てきれない以上、このまま進むしかない。 「………?」 そうして奥へと進み、恥ずかしながらも全部確認しないといけないと思い『男』の方も調べて。 一つの部屋に入った時、智絵里はあるものが目についた。 目の前にあったのは、何の変哲もない、別にあっても不自然ではないもの。 それがある事が問題じゃなくて、その状態が疑問だった。 目の前にある鏡は、粉々に割れていた。 (これ……一体誰が……) 元から割れていた可能性も、無くはない。 ここが初めから寂れていたような所なら、わざわざ直さずにそのままにしているのも頷ける。 ただ、もしもこれが他の参加者によるものなら。 (まだ、誰かいるのかも……) そう感じた智絵里は、周りを見渡す。 人の気配は全くなく、その鏡以外に誰かが居た痕跡も感じられない。 慎重に慎重を喫した人物ならあるいはいたかもしれないが、どちらにしろ確証を得られるものは何もない。 そもそも慎重に動く人が鏡なんて割るだろうか、なんて疑問も浮かばない事は無かったが、これらも全部憶測にすぎない。 ここであれこれ考えるよりも、実際に探索する以外に状況を整理する方法はなかった。 「………はぁ」 そう考えて、智絵里は溜息をつく。 この旅館は、想像していたよりも広い。 その分、探索にも随分と苦労を要するであろうことは想像に難くなかった。 だが、隅から隅まで捜さなくては意味がない。 それが自分の身を守る為でもあり、夢を叶える第一歩になるものであるはずだから。 そう思いながら、智絵里は割れた鏡の前を離れた。 * * * 「ふぅ………」 ソファのある部屋で、智絵里は一息つく。 念には念を入れた探索で、しかし誰がいたわけでもなかった。 鍵のついたもの等は確認のしようが無かったが、それ以外の部分で誰かが居た痕跡もあまり見当たらず。 とりあえずここに来た事は、結局のところ無駄足だったと言うほかなかった。 (天文台には、誰かいるのかな) このすぐ近くにも、施設はある。 ここまで登ってきたのだから、そこまで確認するのは難しい事ではない。 ただ、この山の頂上というのはこの旅館以上に足が伸びなさそうである。 あまり行くメリットが感じられないのが、正直な所だった。 まだ、山を下って学校や病院の方に行った方が人が居そうだ。 地図とにらめっこしながら、智絵里はそんな事を考えていた。 このまま山を登って天文台まで行ってみるか。 それとも山を下りて南の街、あるいは遊園地にでも向かってみるか。 少女の中では、二択。 そこまで絞り込んで、いざ決意しようとした矢先。 (あ…………) ふと、智絵里は瞼が急激に重たくなるのを感じた。 その瞬間を感じ、智絵里は強く首を横にふる。 彼女は自身が思っている以上に、心身ともに疲れていた。 なにせ、彼女は既にこの場所で18時間以上も行動している。 元々体力のある方では無い智絵里にとって、そろそろ活動限界が近づいてきていた。 (駄目……今、寝ちゃ………) ここに人はいないであろうことは既に確認している。 しかし、果たしてここで寝てもいいのだろうか。そんな思考が頭をよぎる。 新しくやってきた誰かに寝込みを襲われる可能性だってあるし、そもそも悠長にしてる暇があるのかも疑問だ。 だが、体はそんな意思とは無関係に休憩を求めていた。 今すぐにでも立たないとまずい。そう思っていても、体は全く動かない。 このまま意識を手放す事を、強く望んでいる。 駄目だ駄目だと思っていても、少女の意識はあっさりと闇へ沈んでいき―――ー ―――暗い部屋の中で、少女の寝息だけが部屋の中で聞こえていた。 * * * 夕暮れの、河原だった。 「…………?」 その中央に居た少女は、困惑した様子で辺りを見渡す。 まるで、何故自分がここにいるのか分からないように。 「―――い、おーい!」 そんな少女の耳に、呼びかけるような声が聞こえた。 その声の気付いて振り返ると、こちらへ向かって走ってくる男性の姿があった。 「…………っ!?」 その姿を見るなり、少女はびくりと体を震わせた。 信じられない、と言った様子で、男を見ていた。 「やっぱりここに居たか、探したよ。 また四つ葉のクローバーを探してたのか?」 「ぁ……――さん……なんで……?」 男の投げかける質問に答えられず、少女はただ困惑しているばかりで。 ふるふると震える姿は、元の容姿もあいまってまるで小動物のようだった。 「………? それはそうとさ、聞きたい事があるんだけど……」 「は、はい……」 その姿に首を傾げつつも、男は少女に問いかける。 少女の方もまた、ただ返事をする事だけはできた。 一体何が起こったのか全く分からないような顔で、それでも必死に理解しようとしていた。 「響子、どこにいるか知らない?」 次の言葉に、少女は頭に強い衝撃を受けたような思いになった。 「智香も唯も事務所に顔を見せてくれなくてさ……あぁ、ナターリアも来てないんだ。 彼女達が休むなんて、よっぽどな事だと思って……なんか聞いてないか?」 「ぇ……ぅ………」 男はかくも純粋な顔で智絵里に問いかける。 知っている。少女は、彼女達がどうなったのかを知っている。 正確に言えば全部を見たわけじゃないが、一人は確実に知っているし、他の人達の事も聞いている。 彼女達は……もう、戻ってこない。 二度と目の前の人には、会えない。 その事を伝えようと……いや、伝えられるはずもなく。 唇が震えて、上手く言葉にならず、血の気が引いていく。 どういえば良いのかも分からずに、ただ時間だけが過ぎていって。 「……響子ちゃん達なら、向こうにいたわよ」 その空間に、また一人の女性が現れた。 「あっ、千夏さん」 「彼女達も色々あって疲れてるから、迎えに行ってあげたら?」 「そうなんですか……一体何してたんだろう」 「本人の口から聞けばいいわ。あの子達も、あなたに逢えたら疲れなんて吹き飛ぶわよ」 ただ困惑するばかりの少女を尻目に、二人の男女は話を進めていく。 何故彼女がここにいるのか。そもそも何故あの人がここにいるのか。 一部の記憶だけがはっきりとしている少女は、理解がまるで追いついていない。 「では、行ってきます」 「えぇ……………さて、智絵里ちゃん」 暫くして、男を見送った女性が近づいてきた。 その女性は、少女の名前を呼ぶ。少女の方もまた、女性の方を深く知っていた。 「あ……千夏、さ」 なんと言えばいいのか分からず、でも何か言わないといけない。 そんな思いで口を開いて、喋ろうとした瞬間。 「ごめんなさいね」 その言葉が紡がれる前に、少女の体は地に伏せた。 「―――――――」 そんな、とも言えず。どうして、とも言えず。 言葉が血となって口から出ていく少女の姿があった。 「……これで、あと――人。もうそろそろ佳境と言った所かしら」 その姿を、水が濡らす。 あっという間に、世界は雨に包まれた。 その中心にいる女性は、そんな事おかまいなしとばかりに空を見上げる。 少女の方からは顔は見えない―――筈なのに、なぜかその姿には、哀愁のようなものを感じられた。 「もう、あの人のアイドルは私しかいない………あなたは、私が助けるわ」 どれだけ体が冷え切っても、指一本動かなくとも、光景すらぼやけて見えなくなっても。 その声だけは、なぜか鮮明に聞こえた。 決してこちらを振り向かずに立ち去る女性に、少女はただ見送ることしかできなくて。 雨の中、ただ独りだけ取り残されて。 そこで、少女の意識は途絶えた。 * * * 「…………ッ」 眠気は、吹き飛んでいた。 体中を嫌な汗が包んでいる。息も荒く、心臓も荒く高鳴っている。 自分の体を触る。どこにも傷は無いし、血で汚れているなんて事もない。 あの光景はただ、気を失ったように眠った少女が見た夢でしかなかった。 「千夏、さん」 ふと言葉に出たのは、一人の女性の名前。 あの夢の中で出てきた、あの人の担当する、智絵里以外に唯一生き残っている人で。 ――そして、夢の中で刃を向けた人。 夢の中の出来事は智絵里自身が作りだしたものであって、あの女性も、所詮は智絵里の中の存在でしかない。 しかし、だからといってあの出来事を否定する事もできなかった。 冷静で、頭脳明晰な人。彼女もまた、あの人に恋をしていた……と、思う。 だからこそ、そうとしか思えない。相川千夏はまだ、間違いなく殺し合いに乗っているだろう。 ――千夏さんは、今の私をどう思うのだろうか。 きっといつかは邂逅するであろう彼女の事を考える。 彼女もまた、和久井留美のように一蹴するのだろうか。 相川千夏は『大人』であり、物事は現実的に考える人だ。 だから、きっとこの思いを鵜呑みにはしてくれないだろう。 それでも、彼女の事だって諦めるわけにはいかない。 同じ人を想う関係でも……そんな関係だからこそ、譲る訳にはいかない。 恋をめぐる戦いは、こんな殺伐としたものじゃない。 また二人で日常に戻って、互いにあの人の事を想って。 最終的にあの人自身に決めてもらう。そういうものの、はずだ。 そこからがスタートだから。 だからこそ、こんな場所で終わりになんてさせない。させちゃいけない。 まだゴールには遠く、道はぼやけて見えなくても。 確かな気持ちだけは、この胸にあった。 外は、あの夢のように雨がぽつぽつと降り始めていた。 【F-3/一日目 夜中】 【緒方智絵里】 【装備:アイスピック ニューナンブM60(4/5)】 【所持品:基本支給品一式×1、ストロベリー・ボム×16】 【状態:健康】 【思考・行動】 基本方針:心に温かい太陽を、ヒーローのように、哀しい夢を断ち切り、皆に応援される幸せな夢に。 1:他のアイドルと出会い、『夢』を形にしていく。 2:大好きな人を、ハッピーエンドに連れて行く。 前:彼女たちの前に現れる奇跡のサーティスリー 投下順に読む 次:カナリア 前:彼女たちが盤面に数えるサーティートゥー 時系列順に読む 次:彼女たちが後もう一手のフィッシング・サーティフォー 前:ヘミソフィア 緒方智絵里 次:雨に唄えば ▲上へ戻る
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1話の衝撃からちょ~っとペースがゆるりとなってきたかしら~。 ドールハウスを脱出できてもまだまだトラウマが残るガールズ達。 サラ・ハーベイ(演:ドリー・デイヴィス)が、監禁から逃れ、実家に戻されたが、家族とのわだかまりがあり、脱走。病院で言葉を交わしたエミリー(演:シャイ・ミッチェル)の元にやってきた。しかし、サラから衝撃的な発言が。容疑者にとらわれていたアンドリュー(演:ブランドン・ジョーンズ)は、「監禁犯」ではないと言い出す。アンドリューのことをさぐろうと詮索しはじめたアイリア(演:ルーシー・ヘイル)は、アンドリューが「養子」だということを知る。プリティ・リトル・ライアーズ シーズン6 DVD 変だと思わない?サラって「監禁犯」の顔をかすかでも見てるんでしょ?じゃあ警察って似顔絵で犯人像を作成したりしないのかしら?サラは2年も監禁されていたのよ。一番手掛かりになるはずなのになぜほっておくのかしらねぇ。どんどんと長引かせるための手段なんでしょうけど。それにサラの親って失踪願いも出さないし。1度娘がいなくなってもまたいなくなってんのにじっとしてんのが変よね~。結局エミリー宅で居座ることになるし。 「チャールズ」の存在を明確にしようとアリソン(演:サーシャ・ピーターズ)に問いかけるスペンサー(演:トロイアン・ベリサリオ)。スペンサーは「チャールズ」の存在に他のガールズ以上に引っかかりを感じている様子。まぁ、マスク付きとはいえ対面していますからねぇ~。「チャールズ」は、ジェーソン(演:ドリュー・ヴァン・エイカー)より15ヵ月年上のアリソンの兄であるということを父ケン(演:ジム・アベル)から明かされる。精神異常幼児とみなされたチャールズなので、伏せられていた彼は、ガールズ達とも縁の深い「ラドリー・サナトリウム」にすぐさま入所。16歳の時に自殺し、この世を去っていることを聞かされたが、チャールズの死に疑問を持ったガールズ達とジェイソンは、チャールズの「カルテ」を探し出す。チャールズを何度か訪問していた大叔母の所有していた家を訪れ、庭にチャールズの墓を発見したガールズ達(エミリーとアイリア以外)は、チャールズがこの世を去っていたことが事実だとわかる。ますます深まるAの謎。 一方、エミリーはサラとの仲を深め中。エミリーってどうもストーリーが浅い。なんかすぐに違う方向に進んでいっちゃうのよねぇ~。彼女のストーリーは、もぉパスしちゃっているわ。 アイリアの方は、ドールハウスに監禁された時の恐怖の体験がよみがえり、再び恐怖に駆られることに。今シリーズが始まって、ロングヘアーがボブにカットされ、ピンクのメッシュをいれた(アリソン失踪時の時の髪型)状態で、登場したアイリアを不思議に思っていたんだけど、Aによるものだったのねぇ~。監禁された部屋で、目が覚めたアイリアは、髪をカットされていて、サイドテーブルには、Aのメッセージがついたメッシュ剤が。そのコトを忘れきっていたアイリアだったけれど、写真の現像中に、Aのメッセージ付きのメッシュ剤をみつけ、記憶がよみがえってくる。それまで、父ベイロン(演:チャド・ロウ)に心配に背を向けていたアイリアだったが我慢できずベイロンの前で泣き崩れてしまう。 記憶のよみがえりは、今回スペンサーにも大きく影響してきた。まったくとして眠れないスペンサーは、エゾラ(演:イアン・ハーディング)のコーヒー店「ブリュー」で、新人サブリナ(演:ルル・ブルッド)が、コーヒーを落下したことをきっかけに、忘れていた記憶がよみがえる。その記憶とは、監禁された部屋で意識を取り戻したスペンサーは血まみれ状態に。その記憶が出てきてからも、眠れない夜と闘うスペンサーは、薬常用者のサブリナに、気持ちを鎮静するものをこっそりと頼みこむように。 スペンサーって親に恵まれない子よねぇ。凄腕のキャリア持ちの2人親だけど、全く親子のコミュニケーションが行き届いてない。こんなに眠れなくても親に言えないのは痛いところよねぇ~。 そして、アンドリューなんだけれども、彼の容疑は白だとわかり、釈放。アンドリューの目的は、モナの死やガールズ達に起こっていることを自ら解決すれば「ヒーロー」になれるハズたったという「英雄意識」が裏目にでてしまい、アイリアにも事実と違うことを警察に言われてしまうし・・・・。まぁ「養子」だという事実もバレてしまい、本当にかわいそうな結果になってしまったワケよ・・・・。 ハナ(演:アシュリー・ベンソン)もケイレブ(演:タイラー・バックボーン)の過度の心配による不信感から距離を置くように言ってしまうし・・・プリティ・リトル・ライアーズ シーズン6 DVD
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作品番号 No.003 タイトル モバP「あまーい誘惑」 運営コメント(土倉) 背徳的だなあ……法子がまだ13歳ってトコもそうだし、寝てる隙を突くってトコもだし。こういうイケナイ行為の方が盛り上がる、というのはたぶん人の性なんでしょうね。 文章に臨場感のある作品だと思いました。情事や心情にしっかりした地の文を書いていながらも、せりふや擬音は地の文形式で見るようなものを用いて表現している。そういうちょっと特殊な形式で書かれていたので、現場の雰囲気がわかりやすく伝わるというか。盛り上がるというか(? オチがまた背徳的ですね。無邪気に可愛らしい法子と邪気まみれのプロデューサーの対比。これから彼は仕事のたびに元気に(意味深)なるんですかねえ。イケナイですねえ。 運営コメント(大山) 法子って13歳なんですよね……あの身体で。男の欲望は際限ないから仕方ないとは言え、13歳が寝てるとこは色々とまずいでしょう……。いや起きててもアウトですが。Pの行動を後押しした棟方師匠にPはお礼を言っておくように。あと法子は本当に気づいていないんですか……? 法子が悪い男に騙されないか心配になっちゃう……。 新しいコメントは下に追加されていきます。 また、ツリー構造のコメントシステムなので、 コメント横のチェックボックスにチェックを入れていたければ、 そのコメントに対して、コメントを追加・反応を返すことができます。 コメント入力中にEnterKeyを押しすぎますと、誤ったコメント投下のもとになります、 ご注意ください。 誤ったコメント投下をした際は、そのコメントにチェックを入れて、続などの一言を添えた上で ご自身の思ったコメント入力を続けられたらと思います。
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順位 上下 タイトル 登録 再生 pts 1 New アニデレステ動画 13411 333905 30106 2 New 3966 151437 11537 3 New THE iDOL M@STER x CIVIL WAR 4507 91539 9083 4 3↓ デレステ「メルヘンデビュー!」MV(ドットバイドット1080p60) 340 31755 1927 - BEMYBABY 369 27088 1723 - デレステ「Tulip」MV(ドットバイドット1080p60) 279 26674 1612 5 New 「in fact」をロックマンエグゼ風にアレンジしました。 556 17260 1419 6 295↑ でしてデシテでしテデしてデシてでシテでしてー 113 17072 966 7 16↑ 【島村卯月】ENERGY☆SMILING!【誕生祭2016】 339 11151 896 8 New ウサミン星の交差点でよく耳にしたBGM 345 10691 879 9 New メルヘンデビュー!を佐久間まゆが乗っ取るとこうなる 227 11947 824 10 New 厚切りアーニャ 143 13250 805 11 New 【MAD】 WILL 【安部菜々】 361 8859 803 12 8↓ きゃぴっ☆ラブリー28歳♪ 94 12608 724 13 8↓ あぁ~!いいですねってってー 217 9800 707 14 New ムーンウェーブ伝説 194 9991 693 15 New 盤上のシンデレラ ~神崎蘭子の観戦記~ 第14局 166 9496 640 16 8↓ 【ミリマス】キャラクター紹介MAD×声優ライブ【アイマス】 112 10273 625 - 【人力VOCALOID】佐久間まゆ「絶対特権主張しますっ!」【デレステMAD】 122 9094 576 - 171 7725 557 - 茜ちゃんが菜々さんの体力向上に付き合ってあげる小部屋 94 9184 553 17 New 【モバマス】ラストエンペラー菜々 Part4【ロマサガ2】 144 7712 529 18 6↓ 【デレステMAD】LiPPS is BAD 209 5422 480 19 1090↑ 「プロデューサーはん…」 「プロデューサーさん…」 162 6327 478 20 New 21回目のモバマス4コマ 117 7136 473 21 19↓ サンキューユッキ 160キロのアウトロー 70 7935 466 22 New 閣下のミツボシアイドルプロフィール☆☆★ 24 8448 446 22 New くものうさみん 214 4648 446 24 14↓ 【手書き】 日野茜×高森藍子「Flip Flop」 223 4180 432 - 【アレンジメドレー】CINDERELLA GIRLS/Wonderful Medley P@rty!! 前編 161 5300 426 - 【MAD】Yourself【シンデレラガールズ】 106 6127 412 - やったにゃ。 変態猫アイドル 49 6947 396 25 New 【デレステ】島村卯月CG戴冠記念「お願い!シンデレラ」【CGS】 37 7122 393 26 19↓ しんでれら・まじっく サイドイベント Game56 43 6743 380 27 1966↑ 誰でも出来る!3分で簡単モバマスコラの作り方! 128 4935 374 27 New アイマス天国2 52 6443 374 - アイドルマスターシンデレラガールズ合作~ありがとう!シンデレラ!~ 68 5820 359 29 【モバマス】課金ライダー剣 第30話【(0w0)】 89 5314 354 - 【合作】デレマスマイムマイム【音MAD】 79 5307 344 - ソロ曲のチョイスを完全に間違えた島村卯月さん24話 56 5599 335 - 積極的にカメラに写りに来る文香おねえさんの「ハイファイ☆デイズ」 79 4871 322 30 New 茜ちゃんメーカーピンボール完成【Future Pinball】 44 5540 321
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彼女たちのかつて、そして現在のサーティーナイン ◆John.ZZqWo “彼女”は満天の星を見上げていた。 雨雲が通り過ぎた後の夜空には無が澄み渡り、そして深く、輝く星を数え切れないほどに抱えている。 ちょうど24時間前。昨日、殺しあいが始まったばかりの時に見上げた空とそれは同一だった。 ただそれだけを見上げていればまるで昨日の夜に戻ったようで、しかしそうでないことはつい先ほどの放送が、幾人もの死者が出たという現実が否定している。 悪夢のような記憶は夢でも幻でもなく、この1日だけで何十人もの『アイドル』が死に、それ以上の哀しみが積み上げられた。 そして、――“彼女”はまだ誰も殺せてはいない。 そうしろと言われたのにも関わらず、彼女はこの1日で誰も殺すことができなかった。 今、星空を見上げる“彼女”は、 ――“悪役”だった。 @ 僅かな非常灯だけが頼りの静かで暗い図書館の中、高垣楓はひとり、窓際で夜空を見上げながら月の光を浴びていた。 「大事な人、か――」 午前0時の放送で千川ちひろは「貴女にかかっている命はひとつではない」と脅すようなことを言った。 それは人質となっているそれぞれのアイドルのプロデューサーのことだろう。殺しあいをしなければ、彼らは死ぬ。そういう意味の言葉だったはずだ。 けれど、その脅しは高垣楓には通じない。彼女の大事な人――プロデューサーはもうすでに死んでしまっているのだから。 高垣楓は、ゆえにその言葉に心を乱されることはなかったが、しかしひとりの別の少女のことを思い浮かべていた。 「愛梨ちゃん、どうしてるかな……」 十時愛梨。自らとプロデューサーを同じくする、つまりは同じくすでにプロデューサーを失っている初代シンデレラガール。 そして、この殺しあい企画の中で運営の息のかかった“悪役”ではないかと目されている少女。 彼女の立場は悪い。少なくとも2人のアイドルを殺したの確かなことだ。その動向から“悪役”と見られるのも無理はない。だが……、 高垣楓は彼女が“悪役”だとは思っていなかった。 「(あの子はそんなに器用な子じゃない。悪役をしろと言われてできる子なんかじゃない)」 殺しあうことを告げられたあの場所でプロデューサーが殺された時のことを高垣楓は思い出す。あの時の彼女の声、表情、それはまぎれもなく本物だった。 本物の恋をする少女の声で、本当に愛する人を失った少女の表情だった。 「(ただ、少し違っただけなのよね。愛梨ちゃんと私は……)」 高垣楓は自分はもう死んでいいと考えた。けれど十時愛梨は死なないと考えて、高垣楓は彼の死を認め、彼女はおそらくそれを認めなかった。 たったそれだけの話で。 なにが違ったのかというと、彼を愛していたのは同じで、彼の『アイドル』だったのも同じで、そして彼から愛されていたのは少しだけ彼女のほうが上回っていて。 そして、高垣楓は少しだけ大人で、十時愛梨は見た目のままの少女だった――なんてそんな話。 「(……愛梨ちゃんはシンデレラ。だから、この悲劇の主人公なのね)」 くすくすとおかしくて笑ってしまう。自分も彼女のようにひたむきに愛されたいと願っていれば、たった午前0時までの魔法でも叶ったろうにと。 今となってはそれが幸福だったのか不幸だったのかを知る術はないけれど、こんな醒めた目で星空を見上げてはいなかったろうと。 大人である高垣楓の中の時計はもう午前0時を過ぎて、王子様は過去で、新しい目的は未来にあった。 しかし、と高垣楓は首を傾げる。十時愛梨が“悪役”でないとすれば、だったらそれは誰なのだろうと。 友人である川島瑞樹はひとりいると言った。それもまるで確証があるかのようにはっきりと、“悪役がひとりいる”と言ったのだ。 そうすると、彼女から見れば誰が“悪役”なのかは明確なのだろうか? 「(私、かな……?)」 もし疑われているのだとすれば自分かもしれないと高垣楓は思った。なぜなら、それはあながち外れているとも言い切れないからだ。 先の更に前の放送で南条光とナターリアの名前が読み上げられた時、高垣楓は心の中で―― 「(……ざまあみろ、よ)」 そう呟いた。そして彼女らが誰に殺されたのかもわかっていた。いっしょにいたはずの和久井留美。彼女以外にはありえない。 全部わかっていてあんな提案をし、全部わかっていて二人を見殺しにした。 飛行場で和久井留美を加えて6人のアイドルが集合した時、二手に分かれようと言い出したのは高垣楓だ。 そしてまず和久井留美が残留すると決め、道明寺歌鈴を連れて出るとも決めた。 道明寺歌鈴を連れて行くと言えば矢口美羽もついてくる。そう計算した上での行動で、それは実際にそうなった。 高垣楓は彼女にとって大事な道明寺歌鈴と矢口美羽を連れて、そして南条光とナターリアを和久井留美の下に置いて逃げ出すことに成功したのだ。 「(留美ちゃん。今頃は次の獲物を探している頃かしら……? 私たちを追っては、こないでしょうね)」 大石泉にはそう言えなかったが、和久井留美が殺しあいに勝って生き延びようとしているのは高垣楓からすればそれこそ一目瞭然だった。 縄跳びに灰皿? 本当にそれが彼女に与えられた武器だったとしよう。しかし、だったら彼女はすぐに“使える”武器をどこか街中ででも探したはずだ。 あの和久井留美が縄跳びと灰皿を鞄に入れてのこのことこの島を、しかも当てもなく歩いているはずなんてありえない。 すぐに自分たちを狙って潜りこんできたのだなとわかった。 「(私、あなたたちが殺されるってわかってたわ。けれど、あたたたちは知らなかったでしょうし、まゆちゃんもそうだったのよ……?)」 南条光とナターリア。ふたりの子供をあそこに残したのは道明寺歌鈴や矢口美羽に比べて優先度が低かったからというわけではない。 高垣楓ははっきりと佐久間まゆを殺したナターリアを憎んでいた。 いや、殺しただけなら不幸な事故だと割り切れたかもしれない。けれど、あの子供たちが佐久間まゆの死を簡単に乗り越えようとしたのは許せなかった。 「(自らの行動を悔いてごめんなさいって、それで死を無駄にしないって言えば報いたことになるの? まゆちゃんは納得できたと思うの?)」 なにを持って彼女の死を無駄にしないと言えるのか。死を業として背負えるというのか。そんなのは子供たちの勝手だ。勝手に納得してるにすぎない。 佐久間まゆには関係ない。彼女たちは佐久間まゆの願いも知らない。彼女たちが死を背負っても彼女の言葉はプロデューサーには届かない。 高垣楓は許さなかった。 死を踏みつけにしていて、それでいて簡単に先に進むと、想いを背負って輝くだとか、歌うだとか、そういうことをいう子供たちが心の底から許せなかった。 「(……だから、あなたたちは同じ目に会うのよ)」 子供たちの死が放送で告げられた時、川島瑞樹はその場にいっしょにいた。 どうせなら大げさに嘆いてみればよかったかもしれない。判断を誤ったと悔いてみればよかったかもしれない。 けれど、高垣楓はそんな素振りですらあの子供たちに送るのは嫌だと、むしろ手を叩いていたずらが成功した時のように笑おうとすら思ったのだ。 そんな気持ちが川島瑞樹には透けて見えたのかもしれない。そして彼女から自分が“悪役”だと疑われているのかもしれない。 今、“悪役”と疑われている十時愛梨とプロデューサーを同じくしているのだ。彼女が疑われる理由を転用すれば自分も疑われるのはありえる話だろう。 「(あれで、釘を刺したつもりだったのかもしれないわね……)」 川島瑞樹ははっきりとみんなの前で“悪役”がいると言った。そして、たとえ“悪役”でも、もう人を殺していてもまだ仲間だと。 それは裏返して言えば、これ以上の凶行を止めるようという忠告だったのかもしれない。 高垣楓が自分が生き残るため、佐久間まゆの言葉を伝えるため、そして誓いと夢、未来のために誰かを見殺しにする可能性、そこへの忠告。 【 けれど、高垣楓は“悪役”ではない 】 「(瑞樹ちゃんの勘違い? もし、そうでないとしたら――……)」 高垣楓が可能性を探ろうと思索に没頭しようとした時、不意にその背に声がかけられた。声の主は同行していた大石泉だった。 「窓際に立っていたら危ないですよ。……いつ、外から撃たれるかわかりませんし」 「……ええ、そうだったわね」 言われて高垣楓は素直に窓際から離れる。そして彼女に首尾はどうかと問うた。彼女の胸に抱えられた数冊の本を見れば問うまでもなかったが。 「はい、探していたのは。それに他にも役立ちそうなものを何冊か……」 「それで時間がかかったんだ」 胸に抱えられた数冊の本。一番上に表紙が見えているのは例の爆弾の本のようだったが、その下にあるのはよく見れば医学書だ。 なんのためにか、なんて問う必要はない。彼女なりの責任感と必死さに、高垣楓はいい子だなと微笑んだ。 @ 大石泉は高垣楓が運転する車の助手席から窓の外の夜空をじっと眺めていた。その膝の上に探していた本を乗せて。 夜空はゆっくりと窓の外を流れる。帰りの道はとても静かだった。 『犯罪史の中の爆弾』――探していた本はすぐに見つかった。同時に、木村夏樹がそこにいた痕跡も。 抜き取られて空いていた本棚の隙間。テーブルの上に乱雑に置かれたままの何冊かの本。 それはまぎれもない木村夏樹のあがきで。諦めないという意思の残滓だった。 「………………」 大石泉はぎゅっと本を掴む手に力をこめる。 木村夏樹は皆が助かる道を探そうとした。志し半ばで倒れたが、それは高森藍子に引き継がれ、そして今、大石泉に届いた。しっかりと。 探していた本以外にも参考になりそうなものは持ってきた。 まだ全てを精査したわけではないが、ざっと見た限りでも首輪爆弾を外すのは不可能ではない、いや必ず外せるものだという手応えをもう得ている。 勿論、それを実行するための用意や機材の入手にはまた手間がかかるだろうが、首輪は外せるのだ。 「――首輪は大丈夫そう?」 「ええ。外すことはできそうです。ただ……」 ハンドルを握り前を向いたままの高垣楓に問われ、答えを返し、大石泉はその言葉の最後を濁してしまう。首輪は外せるはず。けれど。 「時間かしら?」 懸念をあっさりと言い当てられる。 「さっきの放送で言われてたものね」 大石泉は頷く。そう、運営側はついにプロデューサーの命をちらつかせてきた。はじめから彼らが人質だったのは変わらないが、今度はより露骨に。 それはアイドル同士の殺しあいが滞っていることを示し、同時に自分たちのような殺しあいを否定する集団ができていることに対する牽制でもあるのだろう。 「まだ、時間はありますよ」 搾り出すような大石泉の言葉に高垣楓はどうして?と問う。 「次の放送まで6時間。そして、本当に私たちのプロデューサーを殺すつもりなら次でもう一度念押ししてくるはずです」 プロデューサーの命はこの殺しあいを成立させるための根本であり、運営側にとっての切り札である。そう簡単に切れるカードではない。 そして、次の放送までの6時間と、更にそこから次の放送までの時間とを合わせればまだ半日も時間がある。そう大石泉は高垣楓に説明した。 「……そっか」 彼女の返事はそっけない。大石泉もこれが楽観論だとはわかっている。 確かに次の放送でみんなのプロデューサーが全員殺されるなんてことはないだろう。けれど新しいみせしめがひとり選ばれる可能性はある。 それは自分のプロデューサーかもしれないし、高森藍子や他のアイドルのプロデューサーだったりするかもしれない。 しかしそれでも、大石泉は道を迷わない。もう決めたのだから、たとえ不器用と言われようとも、まっすぐに敷いた道、その上をできる限り駆けることしかできない。 「――あなたのプロデューサーはどんな人?」 不意に尋ねられ、少し考えた後に大石泉は変な人ですよと答えた。 「変な人?」 「はい。私じゃちょっと理解できない変わった人です」 プロデューサーのことを思い浮かべながら、出会ってから昨日までのことを思い出しながら大石泉はその人のことを語る。 趣味は世界の秘境巡り。大学を卒業して以来、ずっと海外の僻地を巡ってはそこでしか見られないなにかを見て回っていたそうだ。 そして、日本に戻ってきたタイミングでなんの因果か事務所の社長と出会い、意気投合してアイドルのプロデューサーをすることになったのだという。 「え? それじゃあ……」 「はい。素人ですよ。私たちのプロデューサーは、ひょっとしたら私たち以上にアイドルのことを知りません」 ニューウェーブが3人揃って新しくデビューしたように、その担当のプロデューサーもこれがプロデューサーとしてのデビューだった。 わからないことばかりで他のプロデューサーにサポートしてもらったり、事務所の机にかじりついて勉強していたり、担当のアイドルを放って別のアイドルを見に行ったり。 なのでスケジュール管理は大石泉がしているし、トレーニングのメニューやライブの演出なんかも彼女が組んでいたりする。 プロデューサーを欠席させたまま番組の打ち合わせをしたことも一度や二度ではない。 「まるであなたがプロデューサーさんみたいね」 「かもしれません。でも、私たちに私たちの知らないことを教えてくれる、少なくとも私にとっては得がたい人物です」 高垣楓はくすりと笑い、大石泉もそれにつられそうになり、――しかしそこではっと気づいた。 もしかすれば自分の役割は、……この企画を現場で管理し進行させるプロデューサーなのではないだろうか? 今までこの殺しあい企画のゴールは誰かが最後のひとりになるまで殺しあうことだと思っていた。 けれど、それはあくまでゲームとしてのゴールであり、この企画を番組として見た場合だと、運営が望む結末は別のところにあるのではないだろうか? 首輪を外すためのヒントになる本が手に入ったのは偶然だろうか? 偶然にしてはできすぎてはいないか? これが運営の用意していたものなら? 『アイドル』たちが絶望に挫けず殺しあいを打破することそのものが望まれている結末だとしたら? 今までの千川ちひろの言葉も、そう考えると納得がいく……気がする。 『アイドル』たちがこの殺しあいの中で最後まで『アイドル』であり続けるのが運営の狙っているところなのだとすれば、 自分――大石泉の役割は、今こうしていること、その知識で『アイドル』たちの反抗を手助けすることなのではないだろうか? だからこそ、ニューウェーブの中からひとりだけ選ばれたのでは……? いや……と、大石泉は背を這い登る悪寒に身体を震わせながらそれを否定した。 たとえ本当に事実がそうであったとしても、それがなにを保証してくれるわけでもない。安易に信じ込み、縋り、気を緩めるようなことがあってはならない。 そんな余裕はないはずだ。実際に目の前で人は死に、今もいつ誰に殺されるかもわからない。 舞台設定があったとしても、この LIVE に台本なんかは用意されておらず、完全なアドリブ劇なのだから。 大石泉は本を胸に抱き、また窓から夜空を見上げる。仲間のふたりも、もしかしたらこの同じ夜空を見上げているかもしれないと、そう思いながら。 【 そんな大石泉は“悪役”ではない 】 @ 栗原ネネはひとり、医務室の窓際に椅子を寄せそこから夜空を見上げていた。その手にはもう永遠に繋がらないであろう携帯電話が握られている。 あの時、どうしてそこに行くと言えなかったのか。 暗い病院の中、携帯電話を耳に当て決断を迫られていたあの時のことを栗原ネネは思い返す。 殺しあいをしなければ生き残れない。けれど、そんなことをしてはこれまでの全てとプロデューサーを裏切ることになってしまう。 けれど、殺しあいに否定的なことがばれてしまえば人質となったプロデューサーを殺されてしまうかもしれない。 そこにかかってきた星輝子からの電話。それは、最後のチャンスだと思わせるもので、実際にそのとおりだったのだ。 選択を曖昧に保留し、はぐらかすばかりで時間を無駄に過ごした結果、自分を誘った星輝子は再び言葉を交わすことなく死んでしまった。 大石泉のまとめた結果によると、彼女と同行していた人は今行方が知れている人の中にはいないので、まだ行方がわからない人の中にいるのか、 あるいはこれまでに死んだ人の中か、もしくは同じタイミングで死亡が知らされた2人がそうだったのかもしれない。 運がよかったのだと考えることができるだろうか? もしあそこで合流を選んでいれば自分もそこで死んでいたかもしれないと思うことができるだろうか。 だから電話をかけなかったのは正解だった――なんて、思うことができるはずがない。 栗原ネネの頬を一滴の涙が伝う。 決意するのが遅すぎた。 高森藍子と小日向美穂。この殺しあいの中で象徴となるであろう2人のアイドル。 彼女らの顛末を見ることで、自分の心の奥底に眠っていたものと、アイドルを目指した由来を思い出し、改めてアイドルであることを決意できた。 たとえこの命が今、死の際にあるとしてもそのことそのものに後悔はない。 けれど、やはりなにも犠牲を出さないという選択肢はなかったのだ。あの時、選ばないという選択が星輝子の命を奪った。 それだけでなくこの1日で多くのアイドルの命が失われた。 自分が選ばないでいたうちに。それはつまり、「選ばない」などという選択肢は元からなかったということなのだ。 そう思っていただけのことでしかなくて、その時その時で選んでいないつもりで、誰かが犠牲になることから目を背け耳を塞いでいたにすぎなかったのだ。 だから、もう選ばないといけない。 無為な時間を過ごすことはできない。一命は取り留めたと言われたけれど、同時にこのままでは長くないとも知らされている。 じゃあなにができるだろう? 栗原ネネにはなにができるだろう? 今、アイドルとしてなにができるだろう? 亡くなった星輝子を探し出し、決意したことだけでも伝えようか。でもそんなことに意味があるだろうか? 衰弱した身体でそれができるだろうか。 皆がこの島からの脱出方法を模索しているのを手伝おうか。けれどそこに自分の出番はあるだろうか? むしろ足手まといとなっているのに。 ではアイドルらしく歌で皆を元気づけようか。自分がそうされたように。しかし歌うことができるだろうか? 喉も肺もこんなに弱りきって。 涙が後から後から止まらない。握った拳の上にいくつもいくつも落ちて、窓の外の夜空はぼやけて星も見えなくて。 『彼女が諦めないなら! 私が、諦めるわけには、行かない! 彼女が私を信じてくれてるから! 私も彼女を信じる!』 その時、はっきりと大石泉の言葉が聞こえた。 彼女はあの時はっきりとそう言った。諦めないでいる人がいるなら投げ出さないと、信じてくれる人がいるならその信頼を裏切らないと。 あの意識が混濁した中で、自分が本当に生を諦めず彼女を信じていたのか、それはもうはっきりとはわからない。 けれど、 「……諦めない。私は、私を……信じる」 その言葉を今同じように返そう。大石泉が自分のことを諦めないのなら諦めない。信じていてくれるのなら同じように信じる、と。 栗原ネネはこんなところで死にはしない。 身体もすべてよくなって、殺しあいからも脱出して、プロデューサーも救い出して、アイドルとして復帰し、妹とファンに歌を贈り、すべての希望になってみせる。 諦めない。絶対に諦めない。それが今選ぶべき選択で、自分が信じなくてはいけないこと。 そう、 「……私はアイドル」 なのだから。 栗原ネネは涙を拭い、夜空をもう一度見上げる。そこにはいくつもの星が輝いていた。 「私は生きる」 それが栗原ネネの選択で、 【 そんな希望を抱く栗原ネネは“悪役”ではない 】 @ 医務室の前の廊下は表のほうと比べると殺風景で、どこに視線を置いていいのかわからないふたりは明り取りの窓から覗く夜空を見つめながら話をしていた。 殺そうとしてしまった少女である小日向美穂と、殺そうと思ってもそれができなかった矢口美羽。 「どうして、歌鈴ちゃんの巫女服を着ていたんですか?」 互いを知り合いたいというふたり。語りだせば、それは自然とふたりの間にいた少女――道明寺歌鈴の軌跡を追うものとなった。 「――そこで、歌鈴ちゃんは言ったんです。それはずるいって」 「ずるい?」 ことのあらましは大石泉から事情聴取された際にそれとなしに聞いていたが、当事者から詳しく語られるとそれはまったく印象が変わるものだった。 生き残るためにふたり手を組んだ矢口美羽と道明寺歌鈴。 最初に出会ったのが高垣楓で、死んでもかまわないと言った彼女に対して道明寺歌鈴が言い放ったのが、ずるいという言葉だったらしい。 「私たちは、歌鈴ちゃんは本当はとても怖がってました。殺しあいをするってことに――」 けれど、道明寺歌鈴は決心しようとした。恋のためになにをしてでも生き残るのだと。恐怖をすべて胸のうちに押さえ込んで。 「だけど、楓さんは怖がってはいなかった。それが、歌鈴ちゃんからはどうしても……きっと、うらやましかった。うーん、違うかな……?」 「……………………」 矢口美羽から知らされた親友の言葉に、道明寺歌鈴は口をわななかせた。なにかを言おうと思うのに、口も、膝の上で握った拳も震えるばかりで。 「美穂ちゃん……?」 夜空を見上げていた矢口美羽が異変に気づき隣を見て、そして涙を零している小日向美穂に驚く。 「どうしたの? なにか私、見当はずれなこと言っちゃった?」 「おんなじだった……」 「え?」 「歌鈴ちゃんも……私とおんなじだった…………おんなじだったんだ」 「美穂ちゃん!?」 「歌鈴ちゃん……歌鈴ちゃん……」 顔を覆い背を丸めて泣き出した小日向美穂に矢口美羽はおろおろとするばかりで、なにか失敗をしたのかと焦るも、けれどそうではないらしいと悟り。 背に手を当てて彼女が落ち着くのを待つと、ハンカチを渡して次の言葉をゆっくりと待った。 「私もずっとずるいって思ってました」 「美穂ちゃんも?」 涙を拭ったハンカチをぎゅっと握ると小日向美穂はゆっくりと、けれどよどみなく語り始める。 ふたりの間には同じ気持ちがあったことを。 「周子さんといっしょにいた時も違和感があったんです。なんでこの人はこんな平気そうにしているんだろうって」 塩見周子。小日向美穂と最初に同行していて、彼女を庇って神谷奈緒と北条加蓮に殺されたと、矢口美羽はそう聞かされている。 ふたりがかりで襲われて、しかも目の前でいっしょだった人物が殺されたのだ。その時の小日向美穂はとても恐怖していただろう。 「それから、藍子ちゃんと会って、こんな中でもアイドルらしくあろうって言う彼女に私は黒い感情を抱いてしまったんです」 それが、道明寺歌鈴の言った「ずるい」と同じだと小日向美穂は言う。 「いっしょなんです。ただどうしてって……、どうしてあなたは平気なの?って、それだけで。 私がこんなに怖い思いをしているのに、なんであなたはおんなじように怖がっていないのか。その理由よりも、ただ怖がってないということだけが憎かった」 ずるいという気持ちだった。 「だから、困らせようと思ったんです。私と同じように怖いと思ってほしかった。だから、藍子ちゃんの大事な人を殺そうって……」 「私を……」 小日向美穂は身体の向きを変えるとじっと矢口美羽の顔を見る。泣きはらした赤い目で。 「ごめんなさい」 「……美穂ちゃん」 「藍子ちゃんも、美羽ちゃんもなにも悪くないんです。ただ私が臆病なだけだった。そして、中途半端な私だったから……」 「中途半端?」 その言葉に矢口美羽は一度瞳を瞬かせた。なぜだかわからないが、それは自分にとってもこの先のために大事な言葉だと思えたのだ。 「素直に藍子ちゃんのことをすごいと思えればよかった。できないなら本当に逃げてしまえばよかったんです。……けれど、それも怖かった」 どっちつかずの位置で、高森藍子に守ってもらっていながら、彼女に対して黒い感情を燻らせていた。それが小日向美穂の中途半端さだった。 「……そして、殺すことも間違っちゃうなんて。歌鈴ちゃんよりよっぽどドジですね。……それに歌鈴ちゃんは誰かを殺そうとはしなかった」 それが、私と歌鈴ちゃんとの違いなのかなぁと、小日向美穂は悲しく零す。だから、“彼”は“彼女”を選んだのかと。 「でも、よかった。藍子ちゃんも歌鈴ちゃんも、みんなも、私と同じだった。それがわかったのは、本当に……」 そして、矢口美羽は道明寺歌鈴の最期を小日向美穂に伝えた。彼女は最後までずっとプロデューサーの名前を呼び続けていたと。 小日向美穂はそれを聞いて笑ってみせた。名前の通りの温かい日の光のような笑顔を。 「私、決めました。歌鈴ちゃんの恋を応援します」 「それって、えっと……美穂ちゃんの恋は?」 小日向美穂は手を胸に当てて、 「この恋はその後です。まずは歌鈴ちゃんの恋を成就させてあげたい。歌鈴ちゃんの気持ちをプロデューサーさんに届けてあげたいんです」 その顔は憑き物が落ちたかのように穏やかで、そこに最後のわだかまりがあったのだとそう矢口美羽は察することができた。 「プロデューサーさんはずっと歌鈴ちゃんのことを想って生きていくのかもしれない。けれど、そうしないと私の恋はもう一度はじまらないと思うから」 だったらと、矢口美羽は両の拳を握る。 「じゃあ、私が応援しますっ! 美穂ちゃんの恋を!」 「えっ!?」 驚いた顔をする小日向美穂の前で、矢口美羽は強い決心をその顔に浮かべそして彼女へと詰め寄る。 「応援したいと思ったから。だって、美穂ちゃんはとってもいい子だし」 「でも、私は美羽ちゃんを殺そうと……」 「それって、怖かったからだけなんだよね? それだったら私だっていっしょだった。誰かを殺そうって思っちゃってた」 「……それでも私は、実際に」 「いっしょに謝るよ。ゆるしてもらえるまでネネちゃんに、みんなに謝ろう? だからね――」 矢口美羽は手をのばして小日向美穂の手を取る。ぎゅっと温かく包むように握って。 「友達になってくれるかな?」 そう言った。 小日向美穂はまた泣き出して、矢口美羽のハンカチはいっぱい濡れて、そしてふたりは立ち上がると手をつないで医務室の中へと入っていった。 彼女たちはずっとただ怖がっていただけで、 【 そんな、矢口美羽と小日向美穂は“悪役”であろうはずがない 】 @ 風に当たってくると言って医務室を出てきた川島瑞樹は、警察署の屋上で独り星空を見上げていた。 1日が過ぎて昨日と変わらない星空を見上げ、そして1日前のことを、この殺しあいが始まった時のことを思い出す。 商店のシャッターにもたれた姿勢で目が覚めた時、川島瑞樹の耳にはルルル……という電子音がまるで目覚ましのように聞こえていた。 そしていつの間にかに手には情報端末が握らされており、それをぼうっとした意識のまま耳に当てると代わりに“彼女”の声が聞こえた。 『おはようございます。川島さん』 それは千川ちひろの声だった。いつも事務所でアイドルとプロデューサーを迎えてくれる女性で、川島瑞樹にとっては酒の飲める友人のひとりだ。 普段と変わりない口調で彼女は次にこんなことを言った。 『そこから見える通りに出るとバス停で姫川友紀さんが眠っています。彼女を殺してください。姫川友紀を殺してくれさえすればかまいません』 彼女がそう言い終えると電話はぷつりと切れた。 姫川友紀は言われたとおりにバス停のベンチの上で寝ていた。 川島瑞樹は鞄に入っていた銃を片手に彼女の枕元に立って――、そして彼女が目覚めるまでただなにもせずに待った。 「うわぁ! ……えっ、川島、さん……?」 「おはよう友紀ちゃん」 そうしてわかったのは彼女の場合は情報端末は目覚ましのようには鳴らなかったことだ。 すぐ後で大石泉とも出会うことができ、そこで彼女に探りを入れてみたが彼女の場合も情報端末が音を鳴らしたということはなかったようだった。 今、警察署の屋上で再び川島瑞樹は情報端末を取り出してその白い画面を見る。 どんな操作をしてもあの時と同じ音が流れることはなかった。千川ちひろや、また別のどこかに電話をかけることもできないし、音声も再生できない。 夢だったのかもしれないとも思う。けれど、そう思い込もうとするには耳に残った彼女の声ははっきりとしすぎていた。 姫川友紀を殺しさえしてくれればいいとはどういうことだろう? 彼女の言葉の意味が、この殺しあい企画の主催者としても、自身の友人としても、川島瑞樹には理解することができない。 「友紀ちゃん……」 そして、医務室を出る際に矢口美羽から聞かされたことによると、その姫川友紀は今行方不明だという。 高森藍子と日野茜が連れ戻しに追って出たというが、不吉な予感しかしなかった。 姫川友紀という存在にどんな意味があるのか。 「……わからないわ」 ただ、弱々しく呟くことしかできない。 こんなことなら早いうちにこのことを大石泉と姫川友紀のふたりに明かせばよかったと、川島瑞樹は思う。 けれど、彼女たちが“悪役”を意識してからはそれも難しく、そして自分自身を除けば“悪役”については曖昧なことが多すぎる。 その役割を果たしていないはずだが自分には主催者の息がかかっている。 【 “悪役”は川島瑞樹だ 】 けれど、それだとあの学校の教室に残されていた席の謎はそのままだ。 そして十時愛梨は本当に“悪役”なのか。他の凶行に及んでいるアイドルたちは“悪役”なのか。それらはなにもはっきりとしない。 川島瑞樹は空を見上げる。そこにはやはり昨日とまったく変わらない満天の星があった。 【G-4・警察署付近 / 二日目 深夜】 【大石泉】 【装備:なし】 【所持品:基本支給品一式x1、音楽CD『S(mile)ING!』、爆弾や医学に関する本x数冊ずつ、RPG-7、RPG-7の予備弾頭x1】 【状態:疲労、右足の膝より下に擦過傷(応急手当済み)】 【思考・行動】 基本方針:プロデューサーを助け親友らの下へ帰る。脱出計画をなるべく前倒しにして進める。 0:さくらと亜子はどうしてるだろうか? 1:警察署に戻ったら入手した本を精読し、首輪解除の準備を始める。 2:医学書を読んでできることがあれば栗原ネネにできるだけの治療や対処を行う。 3:夜が明けたら、漁港へと川島さんを派遣して使える船があるか見てきてもらう。 4:学校を再調査する。 5:緊急病院にいる面々が合流してくるのを待つ。また、凛に話を聞いたものが来れば受け入れる。 6:“悪役”、すでに殺しあいにのっているアイドルには注意する。 7:依然として行方の知れないかな子のことが気になる。 【高垣楓】 【装備:仕込みステッキ、ワルサーP38(6/8)、ミニパト】 【所持品:基本支給品一式×2、サーモスコープ、黒煙手榴弾x2、バナナ4房】 【状態:健康】 【思考・行動】 基本方針:アイドルとして、生きる。生き抜く。 1:まゆちゃんの想いを伝えるために生き残る。 2:お酒は生きて帰ってから? 【G-5・警察署 / 二日目 深夜】 【栗原ネネ】 【装備:なし】 【所持品:基本支給品一式×1、携帯電話】 【状態:憔悴】 【思考・行動】 基本方針:輝くものはいつもここに 私のなかに見つけられたから。 1:生き抜くことを目標とし、選び続ける。 ※毒を飲みましたが、治療により当座の危機は脱しました。 ※1日~数日の間を置いて、改めて容体が悪化する可能性が十分にあります。 【矢口美羽】 【装備:鉄パイプ】 【所持品:基本支給品一式、ペットボトル入りしびれ薬、タウルス レイジングブル(1/6)、歌鈴の巫女装束】 【状態:健康】 【思考・行動】 基本方針:藍子からの信頼に応える。 0:ネネちゃんに謝ろうね。 1:藍子に任されたから……頑張る! 2:“悪役”って……。 【小日向美穂】 【装備:クリスマス用衣装】 【所持品:基本支給品一式×1、草刈鎌】 【状態:健康】 【思考・行動】 基本方針:恋する少女として、そして『アイドル』として、強く生きる。 0:ネネちゃんに謝る。 1:美羽ちゃんの友人になれるようがんばろう。 2:歌鈴ちゃんの想いをプロデューサーさんまで届ける。 ※装備していた防護メット、防刃ベストは雨に濡れた都合で脱ぎ捨てました。(警察署内にあります) 【川島瑞樹】 【装備:H K P11水中ピストル(5/5)、婦警の制服】 【所持品:基本支給品一式×1、電動車椅子】 【状態:疲労、わき腹を弾丸が貫通・大量出血(手当済み)、睡眠中】 【思考・行動】 基本方針:プロデューサーを助けて島を脱出する。 0:私は“悪役”だけど……。 1:友紀ちゃんのことが心配。 2:夜が明けたら漁港へと使える船があるか確認しに行く。 3:お酒、ダメ。ゼッタイ。 4:ちひろはなにを考えて……? 前:Black in White 投下順に読む 次:Shangri-La 前:Black in White 時系列順に読む 次:ナカマハズレ 前:11PM 高垣楓 次:永遠フレンズ 大石泉 栗原ネネ 小日向美穂 矢口美羽 川島瑞樹 ▲上へ戻る
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レガーロの土を集めたもの +... 特別指令:思い出のレガーロ レガーロの海岸を歩く。少し昔に戦争に巻き込まれたらしい。レガーロの街も戦地になったそうだ。 【ルカ】若き日のパーパがタロッコの力によってレガーロを守ったと言う話を聞いたことがあります。少し気になりますね。 海はいつも変わらない…… 【ルカ】レガーロの海はいつもキレイですね。 消費体力 -10 進行度 2% アモーレ(愛) カンターレ(歌) 属性:マンジャーレ(食) ファビア リリアーナ ノーノ VS 【ジョーリィ】どうした、そんなところで散歩か? クックック……。 【ジョーリィ】私か? 私は研究用のポルポを探しに来ただけだ。 【ルカ】ジョーリイに邪魔をされてしまいました。今日はもう帰りましょうか、●●。 報酬 【若きジョーリィ】★★ 自分専用ラザニア